炬燵の思い出

 急に寒くなったので、炬燵がほしくなった。子どもの頃から「炬燵」が好きで、寒くなると「こたつ かけて」とせがんだものだ。

 その時代、昭和30年頃、冬の暖房と言えば炬燵しかなかった。竈や風呂場から燃え残りの火を囲炉裏に移し、炬燵やぐらを載せ布団をかけた。これがたまらなく暖かで首まですっぽり入るのが好きだった。電気炬燵を使うようになったのはずっと後で、我が家は長い間暖房はその炬燵一基だった。当時はどこの家もそんな感じだったと思う。だから自然と家族がそこにあつまった。そんな家族の温かさも寒さを和らげてくれたのだと思う。